設定備忘録

物語の設定が思いついたら書く、もはや設定ですらないものも

海崎!夢から逃げるな。

高校生の海崎航は脚本家になりたいとい夢を持っている。
いや、夢というには少し違う。
彼は脚本を書いたことがない。

彼は自信のない日々を過ごしてきた
運動も大してできなければ、勉強も大してできない。
そこそこの偏差値に入れたのは
塾に行っていたおかげだったが、この先どうやって生きていこうか決めかねていた。
友達も少ない彼の高校1年の生活はひたすら映画を見ることだった。
映画ならスポーツやバイトや遊びのように下手だとかなにも文句を言われることがないからだ。
一瞬の現実逃避。

そんな映画を見るうちに自分も映画を撮ってみたい、撮らなくてもいい
脚本だけでも考えたいという気持ちが湧いてきたのだ。
だが、自信のない彼は才能がない自分に気づくのが怖くいつまでも書き出さないでいた。

彼には少し気になる子がいる。
大して関係があるわけではないが。
同じクラスの甲斐夏音誰でも分け隔てなく優しい彼女に惹かれていた。


高校2年でも運良く同じクラスなれた。4月何事もなく日々はすぎる。
5月一か月経つがなにもない。
6月。席替えだ。
運良く僕と彼女は隣の席になった。

おはよう、隣の席になった子に絶対挨拶をするこの女の子の心はきっととても澄んでいる。
もうそれだけで毎日幸せだった。
僕の昼休みは大体図書館で終わる。

シナリオの書き方なる本を注文してそれを読んでる。
みんな図書館何てこないから僕の注文はすんなり通るのだ。

たまに彼女が図書館にくるときがある。
僕は本を読むふりをして彼女の後ろ姿を眺めている。

彼女が図書館から出ようとした時
たまたま目があった

あ、わたるくん!
図書館くるんだねー!

まぁ、大体昼休みは…
夏菜さんもたまにきてるよね

え!

(やばい…ちょっときもかったか)

なんだー、気づいてるなら声かけてくれたらよかったのに!
なんて。私もか、同じクラスでも話すようにならないと声かけにくいよね。

そ。そうなんだよね
(航、安堵して気を抜いている)

昼休み終わる前のチャイム

もう昼もおわりかー
よかったら教室まで一緒にかえらない?

え!?あっ!
急いで席を立とうとして、本を落とす。

夏音が拾う、と同時にタイトルが目に入る


恥ずかしくなる

か、海崎くん
脚本に興味があるの??


あ、いや、あ

夏音
うわー、かっこいいなーー!!


え?

夏音
私なんか考えたりするの苦手なんだよね。見るのは好きなんだけどね

夏音
あ、もしかして今書いてるのあったりするの?


ま、まだ書き終わってないけど
今書いてるのはある
(なんで全然書いてない…)

夏音
ほんとー!
今度よかったら読ませてよ!


うん!
書き終わったら1番最初に見せる!

夏音
ほんと!嬉しいなー


任せてよ、多分来週、いや
再来週になかけてるはずだから!

夏音
うん!!

と。夏音が返事すると同時に
同級生の男、
志摩京平

夏音!いつまで昼休みしてんだ!
昼休みのあとはそ、う、じ!何回いえばわかる!

唐突に声がしてビクッとなる。
俺はこいつが苦手だ。
理由なんて言わなくてもわかるだろう。

夏音
わかってるってー。
ギリギリセーフでしょー!
走れば間に合う!

恭平
お前はよー…

夏音
ほら、はしる!!


走り出しつつ振り向き
夏音
じゃまた教室でね!


う、うん

あ、夏音さん!
あのことは誰にも言わないで!

割と大きめの声


もう一度振り返り笑顔で
夏音
はーい!!!

他の奴らに知られたらろくなことにならない気がする。
まぁ。見られるようなもの何も書いてないんだけど……


そんな鬱屈した自分の前には
どう見ても付き合ってるようなお似合いな2人が肩を並べて走っていく、

遠いなぁ…。


かけながら2人

恭平
秘密って?なんの話だ??

夏音
秘密ーー笑

 

 

 

9月の文化祭。
2年生は毎年劇をすることに決まっていた。